苦しみを通して

 さて、神である主がつくられたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾であった。蛇は女に言った。「あなたがたは、園のどんな木からも食べてはならない、と神は、ほんとうに言われたのですか。」

 女は蛇に言った。「私たちは、園にある木の実を食べてよいのです。

 しかし、園の中央にある木の実について、神は『あなたがたは、それを食べてはならない。それに触れてもいけない。あなたがたが死ぬといけないからだ。』と仰せになりました。」

 そこで、蛇は女に言った。「あなたがたは決して死にません。

 あなたがたがそれを食べるその時、あなたがたの目が開け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです。」

 そこで女が見ると、その木は、まことに食べるのに良く、目に慕わしく、賢くするというその木はいかにも好ましかった。

それで女はその実を取って食べ、いっしょにいた夫にも与えたので、夫も食べた。

 このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分たちが裸であることを知った。そこで、彼らは、いちじくの葉をつづり合わせて、自分たちの腰のおおいを作った。

 そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である主の声を聞いた。

それで人とその妻は、神である主の御顔を避けて園の木の間に身を隠した。

 神である主は、人に呼びかけ、彼に仰せられた。「あなたは、どこにいるのか。

(創世記3章1~9節)